2. 植物たちと一緒にくらす空間
日本の建物には、縁側という場所がありました。縁側は室内と庭の間にあり、生活をする上で、とても大切な空間です。
近年の建物ではこの縁側にあたる空間はなくなり、くらしの庭とのつなぎの部分がありません。子どもの頃より、縁側で遊んだり体感してきた方々は、一度縁側でしたことや、見てきたことを思い出してみるとおのずと「くらしの庭」が見えてきます。
季節の風を感じ、香りを楽しみ、空を眺めて時を感じる癒やしの空間です。庭先や畑で採れたさまざまな野菜などを干したりもしました。太陽の日差しを浴びて昼寝をしたり、秋にはお月見もこの縁側でしました。ものごとを考える場所でもあります。
この縁側は、常に植物たちと一緒の空間です。くらしの庭を設計するとき、エクステリアのリフォームする際にはぜひ縁側となる空間を考えながら、植栽の計画を立ててみることを望みます。軒下に位置する縁側は、室内から裸足のままで行くことができます。
欧米のスタイルでのデッキでは、靴を履くことと違いがあります。豪雪地帯では、冬の間は折りたたむことができるように工夫された様式もあります。
いずれにせよ日本の風土のあった縁側の存在は、くらしの植物たちとの付き合いの場所でもあります。
くらしに役立つ植物たちを植栽するためには、植物たちと付き合う空間も環境としてともに考える必要があるでしょう。
ハランとトキワイカリソウの混植栽
(なんばパークス)
ハランとトキワイカリソウの混植栽
(なんばパークス)
たまたま場所が空いているから植栽するといった単純な発想ではなく、「間」が大切であることを先人は教えてくれています。
時代は変われど、日本のくらしの文化は、風土の中から生まれます。新しいこれからのくらしの庭を、植物たちと一緒に創造していきましょう。