1. 暮らしの文化と植物
(石川県 兼六園)
日本では、古くより各家々に暮らしに役立つ植物を植えてきました。ナンテンやハラン、クマザサなどは、冷蔵機器のない時代には必需品でした。
食べ物の保存剤として、祝い事がある時に炊く赤飯には、折の中にナンテンの枝葉が添えられました。見た目も情緒的で、美しいだけでなく、ご近所に配る際に腐ることのないようにという配慮がなされていたのです。
ハランは、葉に細かく切れ目を入れて惣菜の仕切りにされます。切れ目を入れることにより殺菌効果の高い物質をより多く発散するようにします。ササやタケの皮は、食材を包む役割で、保存効果も兼ね備えたといえます。
このような保存のための工夫の他に、クロモジは、楊枝の素材として活用されます。香木とよばれ、枝の切り口から爽やかなとてもよい香りがします。身近な庭にある植物を活用したまさにくらしの文化そのものといってもよいでしょう。
欧米にもこのように植物を活用した文化があります。ゲッケイジュやオリーブ、ローズマリ一、ラベンダ一、セージなどはハーブとしてガーデンセンターでも簡単に入手できます。
最近特に期待を寄せられているものに、オーストラリア原産の植物たちがあります。ブルーガム(ユーカリ)、ティーツリー(メラレウ力)、レモンマートル、アカシアなどです。乾燥にも強く、鉢植えで長期間育てることができるので、マンションのベランダやテラスでも育てることができます。
アロマテラピーの普及により、この名前も徐々に普及されつつあります。インターネットのホームページで簡単に効果を調べることができるのもありがたいですね。直接人に役立つ効果としてお茶にしたり入浴剤としての活用法があります。
また、蚊や嫌な虫を寄せ付けない忌避効果は、ガーデナーにとっては嬉しいかぎりです。レモンマートルやレモンユーカリには、シトラールが多く含まれるので、ネコがこの香りを嫌います。その他ランタナやニームなども同じような効果があるので、ガーデン植物として覚えておきましょう。