1. ボーダー・ガーデンとパ-テーションの考え方
Border(ボーダー)は直訳すると、「へり」「ふち取り」「境」「際」などの意味をもち、その部分を植栽した花壇を一般にボーダー・ガーデンと呼びます。日本においても、境栽花壇や生け垣は、もともと植栽のゾーンとしてとらえられてきました。
とくに「際」を美しくする考え方は、日本では言葉にも登場してきます。「散り際」「去り際」など際はきれいなほどよいという思想です。
確かに、植栽においても「際」の部分は重要でこの部分が汚くなると、全体が台無しになってしまいます。ボーダー・ガーデンの演出は、欧米では街中でも頻繁に見かけます。植栽エリアも面積的に最小限で抑えられ、ゾーンを分ける意味での目的も達成でき、一石二鳥になります。
また、欧米では、間仕切りの植栽は一般にHedge(エッジ)と呼び、ボーダーのニュアンスとは意味を異にしています。目隠しや間仕切り的な機能をもたせていけば、Screen(スクリーン)やPartition(パーテーション)という言葉も使われます。
色彩を考えたボーダーガーデンの美しい演出
(ドイツ ボン郊外の公園)
もともと日本の生け垣は、庭園の歴史の中で重要な要素としてあげられます。
竹垣や土壁とともに植栽される場合も含め、際の植栽は人の目に触れる大切な植栽エリアです。
奈良や京都では、チャ(茶)の木を生け垣にしているところもあります。
チャはツバキ科の常緑低木で、夏の剪定時期にはその周辺に茶の香りが漂います。日本らしい情緒といえるでしょう。
日本の場合、気候帯地域によって生け垣に使われてきた樹木の種類は異なりますが、
おおむね常緑で、剪定に強い植物が選ばれてきました。
最近では、トレリス・フェンスなどのエクステリア材料と合わせてつる性植物を応用して採用する事例もよく見かけます。
さらに、南欧でよく見かけるフルーツ・エスパリエもこれからの都市緑化に応用したい手法といえます。
イチジク、セイヨウナシ、リンゴ、カリン、スモモ、柑橘類などがよく使われる品目で、
壁面緑化としての期待も高く、実の楽しみもあります。