3. テラス・ベランダ・リビングガーデンの植栽デザイン手法
緑に囲まれたテラスでは、木漏れ陽を浴びて、
癒やしのひと時を過ごせます
(英国オックスフォードナショナルスキーム)
基本的な植栽デザインの手法
植栽のデザインを考える際に知っておきたいデザイン手法として基本的な手法を理解して創造していくと、デザインの幅がさらに広がり、素敵な空間が創出されます。それぞれの色彩の調和と全体の構成をバランスをとりながら考える必要があります。
素敵な空間が創造された中で、私たちは五感を通じてさまざまなことを感じとっていきます。したがって「5th ROOM(5番目の部屋)」の植栽デザインを考えるときには、常に頭に「五感の満足」と「健康の充足」をテーマにプランニングしていきましょう。
健康の充足は、7つの「浴」があるといわれます。まず、植物による森林浴、日光浴、海水浴、温泉浴、芳香浴、音楽浴、イオン浴です。すべて治癒的な効果のことを示します。癒やしが求められる現在、私たちのプランニングする植栽デザインのキーワードとなります。
1. パターン化
1本の樹木を「点」ととらえ、ある一方方向に等間隔に連続させていくと「線」になります。規則正しさは統一美になり、心理的に「清潔感」を生みます。途中の1本が枯れてしまうと、非常に目立ってしまうことがあります。主に街路樹の植栽デザインに見られます。
2. ムーブメント
一方方向の植栽がカーブを描くと、「動感」が生まれます。人の目は瞬時に目線を変えてその先を追う能力があります。この効果を活かして、動きのある有機質な空間をつくります。広い公園などで、導線を考えるときなどに使われます。
3. バラエティー
言葉のとおりさまざまな多くのものが集まった状態です。バラエティーは「面白さ」や「楽しさ」といった効果があり、興味性が高まります。ただし、やみくもに活用するとゴミに見えてしまうので注意が必要です。
4. オーバーラップ
重ね合わせの手法です。異なるものをずらして重ね合わせることにより、奥行き感を感じます。ムーブメントと同様、人の視覚能力を活かします。狭い場所には特に有効で、平面的な空間を立体化させることになります。
5. シンメトリー
左右対称の演出手法で、出入口などでよく使われます。少量の素材で効果的です。自然感の逆で、人工的な雰囲気を生みます。円錐形のコニファーやスタンダード仕立てなどのトピアリーをコンテナ植栽して演出するとより効果的です。
リビングやテラスガーデンでのポイント
リビングやテラスでは、ベンチやソファーに座ってくつろぎます。したがって、立った状態での目線よりも視覚が低くなるので、配置する植物も高さを考えて大きさを選択します。また、植物との距離も大切です。より身近に感じる距離感を計りましょう。