4. キッチンガーデンの基礎知識 マルチングと肥料
苗を植えつけた時には
必ず敷きわらでマルチングしましょう
マルチングの重要性
マルチングは、植栽した株元を中心に地表面に稲わらや腐葉土、バークなどを敷くことをいいます。農業ではビニールマルチを使用することもあります。マルチングは、下記のような目的があり、健全に作物を育てるうえで大変重要です。
- 雑草予防・・・・・・・・・植えつけた作物以外の雑草が生えないようにする。
- 乾燥予防・・・・・・・・・夏季に地表面が乾燥してしまい、上根(地上に近い部分に生える根)が傷むのを防ぐ。
- 霜予防・・・・・・・・・・・乾燥と同じように冬季に発生する霜から上根を守る。また、寒冷地での霜柱が立つのを防ぐ。
- 泥はね防止・・・・・・・水やりの際に、水圧によって飛び散る泥が葉に付着するのを防ぐ。
- 塩類集積の除去・・・与えすぎた肥料分などの塩類を吸着し、土壌内部の過剰肥料分を除去する。(乾燥させて白い粉上のものが浮いてきたら、除去する)
肥料について
野菜たちにとって肥料は「食べ物」に相当します。作物は、土壌中に伸ばした根から必要な養分を吸収して生育していきます。生育に必要な養分はさまざまありますが、特に多く必要な要素は、窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)で三大要素といいます。三大要素は配合肥料の基準となるので、覚えておきましょう。三大要素に次いで重要な要素はカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)で、作物の体を形成していく上で大切な要素といえます。そのほかの要素として、硫黄(S)、塩素(Cl)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、ホウ素(B)、モリブデン(Mo)などがあります。一般に多くは必要としませんが微量は必要なので、微量要素とよびます。このように肥料にはたくさんの要素があり、それぞれがバランスを取りながら吸収されていきます。人の体と同じように、偏った栄養バランスになると、生育に障害がでてくるので与えすぎには特に注意が必要です。
肥料の種類
肥料にはさまざまな種類があります。まず、肥料の効き方を理解しておくことが大切です。すべての市販されている肥料は下記の3種類のいずれかにあたります。
- 速効性肥料・・・・・・・施肥すると速く効果が表れる肥料で、主に水に溶けるものが多く、追肥やお礼肥に使います。水で流れてしまうため長期間の効果はありません。
- 遅効性肥料・・・・・・・施肥後すぐには効果がなく、微生物や土中での化学反応により根に吸収されていきます。生育旺盛期に合わせ、追肥として与えます。
- 緩効性肥料・・・・・・・水にすぐに溶けてしまうのではなく、根から出る根酸などによって徐々に溶け、2カ月以上かけてゆっくりと効きめが続きます。元肥や寒肥として与えます。
肥料の原料による分け方
市販されている肥料は、大きく有機質肥料と無機質肥料に分けられます。有機質肥料は、油かす、魚かす、鶏ふん、骨粉などで、動植物の有機物を原料としており、通常、発酵させて使用します。商品によって発酵度合いが異なるので、植栽後すぐに施肥する場合には、できるだけ完熟しているものが安全です。 ※生のままで使用すると、作物に吸収される前に微生物によって分解され、アンモニアガスなどを発生させて害虫などを誘引してしまうこともあります。特に温度の高い夏場は、急激に発酵が進み作物を傷めてしまうことがあるので、多量の与えすぎに注意しましょう。無機質肥料には、尿素、過燐酸石灰、硫酸カリなどがあります。鉱物や化学的に生成したしたもので、化学肥料ともいい、三要素の単肥や配合されたものがあります。単肥には速効性のものが多いので、与えすぎには特に注意しましょう。
肥料の成分表示について
一般に市販肥料を購入する際には、パッケージや袋に「成分表示」が明記されています。通常、三大要素を基準に、例えば5−10−5など数字で表示されています。この数字は、100g中にそれぞれ窒素(N)5g、リン酸(P)10g、カリ(K)5g含まれていることを表わしています。 ※配合肥料にはいろいろなタイプがあります。成分表示をよく確認して使用するようにしましょう。元肥とし て育てる前に土壌に混ぜ込むタイプには、リン酸を中心とした山型、または水平型の緩効性のタイプが適 しています。また、生育旺盛期の追肥としては下がり型、花や実がつきだす時期には山型や上がり型を使 用します。秋に根を充実させ、耐寒性を高める際には上がり型のタイプを与えると丈夫に健全育成します。