5. 防災、防犯に役立つ植栽
近年の異常気象や地震などによる災害の対策として少しでも植物を活かすことができます。樹木の中には火災の拡大を阻止したり、延焼の速度を遅らせる効果の高いものがあり、通常常緑樹や水分を樹幹に多く含む樹木はより燃えにくくなります。特に住宅が密集するエリアでは随所に植栽していくことが望まれます。燃えにくい樹木には、イヌマキ、コウヤマキ、アカガシ、スダジイ、アラカシ、シラカシ、タブノキ、ヤブニッケイ、モチノキ、クロガネモチ、ネズミモチ、シャリンバイ、カナメモチ、ヤマモモ、フクギ、タラヨウ、ツバキ類、サザンカ、モッコク、サカキ、シキミ、キョウチクトウ、サンゴジュ、マサキ、アオキ、ヤツデ、ユズリハ、ユズリハ、カラタチ、ナナカマドなどがあげられます。逆に、燃えやすい脂分を多く含む樹木にはアカマツ、クロマツ、ヒマラヤシーダ、スギ、タイサンボク、キンモクセイ、シュロ、マダケ、オカメザサ、クマザサなどです。極端に選択の際に燃えにくいものばかりを選ぶ必要はありませんが、念頭において選択の参考にするとよいでしょう。
台風などの大風によって潮風(塩害)に強い樹木としては、アラカシ、シラカシ、マテバシイなどの表皮組織のクチクラ層が発達しているものは、付着塩分が葉肉へ容易に浸入できないため強いといえます。他には、落葉広葉樹ではアキニレ、ポプラが比較的強いといえます。また低木でもトベラやキョウチクトウ、ハマヒサカキなども海岸沿岸で植栽できます。メンテナンスとしては、台風の後すぐに高木も含め水で塩分を洗い流すだけでもかなり効果が期待できます。
次に防犯に役立つ樹木には、刺を有する樹木やつる性植物が有効です。ピラカンサ、ボケ、メギ、ヒイラギナギなどの樹木を生垣と並列して植栽するとより効果的です。つる性植物もトレリスなどのエクステリア資材とうまく組み合わせてバラ、サルトリイバラ、ノイバラがあげられます。また、生垣も1条植えよりも2条植えにすると幅があることにより侵入がし難くなります。防犯に関しては、センサーライトやフェンスなどの工夫により植栽と組み合わせる方法が望まれます。