4. 植栽基盤を工夫する
コンテナを使ったアプローチ植栽
(兵庫県 三田市住宅)
カースペースからアプローチなどの周囲はどうしてもコンテナ植栽を用いることが多くなります。また設計段階で植栽マスをつくるのもコンテナと同様の土壌基盤を考えると後々のメンテナンスに大きく影響してきます。通常の路地植えとの違いは、物理的に基盤の土量が制限されることです。屋上緑化で用いられるパーライトを中心とする基盤材でも応用はできますが、樹木類の植栽が多くなることから珪藻土の焼成土などの多孔質な無機質土壌が望まれます。植物が生育していくためには当然養分を吸収していくために有機物を混入するという考え方が主流となっています。
造園植栽の基本として、植栽樹木の根鉢約1,2倍程度の穴を掘り、根首を地上表面に合わせて水を打ちながら周囲を棒で突きながら植える、といった植栽法です。これは通常の真砂土(山土)などの粘土質を中心にした考え方で、地域の土壌環境によっても異なってきます。いずれにせよバーク堆肥やピートモス、腐葉土などの有機物を植栽時に20%程度は混入し、植栽後バークやチップなどでマルチングをします。経年変化をみていくと、植物の生育とともに土壌が沈下していき、毎年マルチングも兼ねて有機物を表面に堆積していくことになります。
このように路地植えならばメンテナンスによって植木の管理をしていくことができますが、コンテナや植栽マスの場合はこのようにはいきません。土量が少ないため、根が回ってしまいいわゆる根づまりを起こし、健全育成状態を保つことが難しくなります。数年後に、撤去や全改植を余儀なくされ大きなリスクを負うことになります。パーライトや珪藻土の焼成土(セラミック体)は、無機質で植栽後の地盤沈下を起こすことがありません。(図-2)
(図-2) コンテナおよび植栽マスの土壌基盤イメージ
イソライトCG(珪藻土の焼成土)
(水分を吸収し保水性を高める)
珪藻土などの粘土質を焼成したものは、多孔質状態となり気層ができて保水性を高めます。また、塩基置換容量(保肥性)を高めるためにゼオライト5%程度を混ぜるとさらに地力が高まり施肥のメンテナンスがやりやすくなります。堆肥などの有機物は、表面部だけにマルチングを兼ねて施用します。この際通常のマルチングよりも厚みを持たせ(約5cm程度)、毎年冬季に表面に少しづつ足していきます。軽量化を上げるには、パーライトの粉状のものを増量材的に加えます。根の伸長は、直根性でも散根性でも毛細根状のひげ根になります。無肥料の場合著しく成長速度が遅くなりますが、生垣などのボーダー植栽では有効な土壌基盤ベースとなります。