2.小鳥や蝶をよぶ植物と水生昆虫たち
都会の人工池に戻ってきたアカネトンボ
(兵庫県 宝塚市)
都市部における自然環境をはかるバロメーターとして、植物や水生昆虫の生息状態があげられます。
大都市部では小鳥や花粉を運ぶ蝶、トンボなどを見かけることが滅多にありません。小鳥や水生昆虫のトンボやホタル幼虫、カエルなどは、ガーデンに蔓延する害虫を捕食してくれます。まさしくガーデンのサポーターといえます。
私たちが、緑化空間を創造していくとき、常にこのことを意識しておけば、必ずや自然が戻ってくると信じます。
海辺などでは、干潟の復元事業なども積極的に進められています。一軒の小さな庭でも、住宅エリア全体で考えるとビオトープの世界は実現してきます。
蝶を呼ぶ樹木を「呼蝶木」といいます。また、小鳥の好む実をつける樹木などもビオトープ空間を造っていくためには有効です。
- ブッドレア
- シモツケ
- サンショウ
- 柑橘類
- バラ
- ツツジ
- アリッサム
- アブラナ
- バーベナ
- ハナトラノオ
- アザミ
- アベリア
- ディル
- パセリ
- メギ
- ナンテン
- ムラサキシキブ
- ピラカンサ
- ガマズミ
- アオキ
- コトネアスター
- ヤマボウシ
- クワ
- グミ
- マユミ
- サンシュユ
- ホーリー
- クロガネモチ
3. 水生植物の分類と岸辺の植物
水生植物は生息位置により通常4つの分類に分かれます。
水生植物をうまくガーデンに植栽するためにはまずその植物の特性と植栽環境の把握をしておく必要があります。
またガーデンデザインの視点からとらえると、岸辺の植物もあわせてウォータープランツとして理解しておくとよいでしょう。
小さな池などでは、専用カゴにあらかじめ植栽しカゴのまま水底に沈める方法もあります。
- 沈水植物 茎葉を完全に水中に没して生育する植物
- 浮葉植物 根は水底にはり、葉を水面に浮かせ展開する植物
- 抽水植物(挺水植物) 根は水底にはり、植物体基部は水中で葉を水面より上に展開する植物
- 浮遊植物 植物体全体が水面または水面下に浮遊している植物
- 岸辺植物 水辺に近い比較的湿潤な土壌に生息する植物
*湿地植物・・・・水位の変化により一時水没するか、常に豊潤な湿原に生育する植物
ヒツジグサ(浮葉植物)
水生植物の種類を学名で整理していくと、いくつかのグループがわかってきます。
キンポウゲ科、ユキノシタ科、イネ科、サトイモ科、カヤツリグサ科、スイレン科、タデ科、ヤナギ科を筆頭に、
アヤメ科、ドクダミ科、サクラソウ科、ミソハギ科、キク科、ユリ科、ガマ科など多くの種類があります。
とくにイネ科、サトイモ科、カヤツリグサ科の植物は、水を浄化する能力に優れており、微生物との共生にとくに役立ちます。